不動産事例紹介

借地借家・建築・境界等の不動産問題について、弁護士が問題解決のための道標となる裁判例(CASE STUDIES)等を詳しく解説しています。

借地を売却する場合に必要な手続は?地主が認知症だった場合について

Q 私は、ターミナル駅の近くに、親から相続した店舗用の木造2階建ての建物を所有しています。土地は借地で、3年後に更新を迎えます。

現在は、建物を貸していて、飲食店舗として使用されています。

建物は築30年経過で老朽しており、修繕するのも費用がかかります。

また、3年後の更新時に更新料を払わなければならないと思いますので、そのお金の問題もあります。

金銭的なことを考えると、いっそのこと借地権と建物ごと売却した方が良いのかもと思っています。

借地を売却する際にはどのような段取りで進めるのでしょうか。

ちなみに、ここ数年、地主の方は認知症で施設に入院しているようで、その息子さんが借地の管理などをしているようです。

また、仮に売却せずに保有し続ける場合、建替えや大規模修繕をするための段取りや、3年後の借地の更新の際の更新料がどれくらいかかるかということも知っておきたいです。

A 成年後見手続も視野に入れながら、借地の売却手段を検討する必要があります。また、更新料が相当大きな金額になる可能性もありますので、資金の準備が必要です。

1 借地の売却の段取り

借地を売却する場合、地主の承諾が必要となります。

もっとも、借地だけで売却するとなると買い手がつきにくかったり、売却金額が低くなる傾向があります。

したがって、借地を売却するのであれば、地主と相談して

底地と共に売却する

もしくは、地主に買い取ってもらう

という手段も検討した方が良いでしょう。

2 地主が認知症の問題点

借地を売却する場合のほか、借地上の建物を建て替えたり大規模修繕する場合にも、地主の承諾が必要となります。

しかし、地主が認知症であり、認知症の程度が重く、上記の「承諾」の法律的な意味すら理解できないような状況の場合、地主は法律上有効な承諾ができません。

このような場合、地主に成年後見人が選任されていれば、成年後見人の「承諾」を得るということをすれば足りますが、仮に成年後見人すら選任されていない場合には、上記の地主の承諾の得るための裁判(借地非訟と言います。)を裁判所に起こす必要があります。

そして、地主は認知症で当然ながら裁判を遂行することができないですから、地主に代わって裁判の対応をする代理人(特別代理人と言います。)を裁判所に選任してもらうという手続をしなければなりません。

この特別代理人というのは、裁判所が、裁判手続のために地主の代理人として選任するのですが、基本的には弁護士が選任されます。

裁判所に特別代理人を選任をしてもらうにあたっては、この特別代理人となる弁護士が裁判手続を行うための「報酬」に該当する金額を、こちらから予め裁判所に納めなければなりません。

この「報酬」に該当する金額がいくらかという問題がありますが、この金額は特別代理人となる弁護士がどの程度の業務を行うかによって様々ですので一概には言えません。

特別代理人の業務がそれほど無いと見込まれる場合は10~20万円程度となることが多いですが、通常の裁判手続でそれなりの業務が予定されている場合は、50万円前後になることもあるようです。

3 借地の更新料

借地契約が更新される場合、契約書に更新料の支払いが規定されている場合には更新料が発生します。

更新料の相場は、地域によっても様々ですが、一般的には、借地権価格の5~10%と言われています。

したがいまして、更新時期を見据えて、概ねそれだけの資金を用意しておく必要があります。


2015年11月30日更新