不動産事例紹介

借地借家・建築・境界等の不動産問題について、弁護士が問題解決のための道標となる裁判例(CASE STUDIES)等を詳しく解説しています。

低周波音の騒音レベルの指標についての問題(住宅設備から生じる低周波音の問題)

低周波音の被害を感じた場合、まずは、その音がどの程度のものかを客観的に測る必要があります。

騒音を測定するにあたって、その騒音の評価指標を理解しておく必要があります。

一般的なものとしては、騒音レベルを表す指標としては「デシベル」という単位が用いられます。このデシベルには以下の2つの評価方法があります。

1 A特性騒音レベル

騒音は、通常、騒音計の「A特性」で測定されます。

この結果得られるdB(A)という数値は、可聴域を含む音の音圧を合計した数値であり、人の耳の感度に合わせて低い周波数を小さく評価するように補正されています

ただし、その補正は近似的なものであり、高レベルの騒音や、低周波帯域の音を多く含む「音の大きさ」を過小評価するという特徴があります。そのため、実際に強烈な低周波音が出ていても、その「音の大きさ」は測定結果に反映されません

2 G特性騒音レベル

G特性とは、人における超低周波音(20Hz以下の低周波音)の知覚特性に基づいて、超低周波音を評価するために、物理的な音圧レベルの値に対して周波数補正を施した騒音評価指標です

可聴音全体に対して聴覚補正を施した騒音評価指標であるA特性騒音レベルに対応するものです。

以上のように、騒音の測定の際に用いられる指標はデシベルのうちでもA特性騒音レベルということになりますが、これは、耳に聞こえる音の大きさ、いわば音のやかましさを測るものです。

したがいまして、耳には聞こえにくい低周波音については、A特性騒音レベル(dB(A))そのレベルを正しく表していないのではないか、という問題があります。

そこで、低周波音の影響を正しく表すために、ラウドネスネスレベルという指標で音を評価することを検討すべきです。

すなわち、音の大きさ(ラウドネス)とは、人間が音を聞いたときの感覚的な量を意味する言葉であり、このラウドネスについて、音圧レベル(dB)と関連付けた量のことをラウドネスレベルといいます(単位はフォン(phon)です。

ラウドネスの基準となる音は、音圧レベル 40 dB で周波数 1kHz の純音で、ラウドネスレベルは 40 phonとなる。10 phonの増加により音の大きさが倍に聞こえます。)。

上記1のA特性も「音の大きさ」に関する人の聴覚特性を近似したものですが、前述のとおり人の耳の感度に合わせて低い周波数を思い切って小さく評価するように補正したり、音の大きさの違いによる等感曲線の差が考慮されていなかったり、複合音のマスキングが考慮されていないなど、真の音の大きさとの相関が十分高いとは言えません。

なお、それでも広く用いられているのは、測定が簡便であり、また、過去からの測定値が蓄積されているため比較が容易であるなどの実務的な理由によります(「騒音用語辞典」9頁参照)。

他方で、ラウドネスレベルは、人間の複雑な聴覚の周波数特性を考慮し、より人間の「音の大きさ」の知覚を忠実にモデル化したものです。

例えば、高レベルの低周波音を含む騒音の場合、ラウドネスレベルはより大きくなりますが、A特性では低周波音はほとんど反映されないため「音の大きさ」が過小評価されることになります。


2018年10月10日更新